民泊を一言で言えば、住宅(例えば一戸建の住宅や、アパート等の共同住宅等)の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供することになります。この民泊は、現在は、法律区分として、「住宅宿泊事業法による民泊」と、「特区で行われる民泊」があります。
また、民泊ではありませんが、宿泊施設を語る上で外せないのが旅館業法による営業です。
始まるにあたるには、どの営業が良いのかを良く考える必要があります。
住宅宿泊事業法による民泊の種類です。これも以下の2つに分類がされます。
(1) 家主同居型 家主が民泊を行う住宅内に居住し、住宅を貸し出す民泊です。家主と同居するパターンです。わかりやすく説明すると、自分の住んでいる住居に旅行者を滞在させるパターンがこれにあたります。
(2) 家主不在型 家主が民泊を行う住宅内にはおらず、住宅を貸し出す民泊です。家主が不在のパターンです。例えば、大家がアパート等を所有していて、自分はアパートに住んでいない場合や、別荘等を所有していて、自分が利用していない時期を民泊等で貸す場合等がこちらのパターンにあたります。
次に特区型民泊です。
(3)特区民泊。家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した民泊のことを指します。特区民泊の正式名称は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」ですが、特区(特別区)における民泊事業として「特区民泊」と呼ばれています。特区民泊ができるのは国家戦略特別区の一部に限られます。今の所、東京都等の一部の地域に限られており、栃木県ではありません。
さらに、従来型の旅館業法による営業にも4つの種類があります。
(4) ホテル営業 洋式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業方式です。
(5) 旅館営業 和式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業方式です。温泉旅館、観光旅館等が含まれます。民宿も該当することがあります。
(6) 簡易宿所営業 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設けてする営業です。例えばベッドハウス、山小屋、スキー小屋、ユースホステルの他カプセルホテルが該当します。
(7) 下宿営業 1月以上の期間を単位として宿泊させる営業です。
以上が7種類が宿泊に関する施設の種類になります。
民泊 | 民泊特区 | 旅館業 | |||||
宿泊施設の種類 | 家主居住 | 家主不在型 | ホテル営業 | 旅館営業 | 簡易宿所営業 | 下宿営業 | |
種類・ 内容 |
家主が同居する民泊 |
家主が不在の民泊 | 10室以上の洋客室を主体とする宿泊施設で、レストランや食堂で食事を提供できる宿泊施設 | 5室以上の和客室を主体とする宿泊施設 | 客室を多数人で共用する宿泊施設 | 一カ月以上の期間を単位とする宿泊施設 | |
営業可能区域 | 制限なし | 制限なし |
①国が国家戦略特区として区域を指定 ②その指定された区域が民泊に関する区域計画を策定 ③区域計画が内閣総理大臣に認められる ④その区域内で都道府県知事や市長、区長の認定を貰えば、旅館業の許可を得ずに民泊ビジネス(外国人滞在施設経営事業)が行える。 |
①第一種住居地域(当該用途に供する部分が3000㎡以下) ②第二種住居地域 ③準住居地域 ④近隣商業地域 ⑤商業地域 ⑥準工業地域 ※住居専用地域では営業できません。 |
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行政への申告 | 届出 | 届出 | 認定 | 許可 | 許可 | 許可 | 許可 |
営業日数上限 | 180日 | 180日 | 2泊3日以上 | なし | |||
メリット | 届け出を出せばすぐに始められる |
管理業者に依頼をしないと始めることができない |
営業日数の制限がない | 営業日数の制限がない | |||
デメリット | 営業日数が限られる |
営業日数が限られる |
最低宿泊2日3日以上という条件が必要なので、1泊ではできない。 |
許可条件が厳しい |
2018年の住宅宿泊事業法の施工により「住宅宿泊事業者」と呼ばれる民泊ホストは、都道府県知事(保健所設置市はその首長)に対して「届出」さえすれば、旅館業法の許認可がなくとも「住宅宿泊事業」つまり民泊を運営することが可能となり、かつてない程に民泊は始めやすくなります。
届出をしたうえで合法的に民泊を運営するホストには各部屋の床面積に応じた宿泊者数の制限や清掃など衛生管理、非常用照明器具の設置、避難経路の表示、火災・災害時の宿泊者の安全確保、外国人観光客向けの外国語による施設案内、周辺住民からの苦情に対する対処、標識の設置など様々な義務が課されますが、この「住宅宿泊事業」を活用した民泊運営の最大のポイントは、一年間の営業日数の上限が「180日以内」と定められているという点です。
「180日以内」しか営業できないという見方もあるでしょうが、180日間毎日宿泊があった時の収入を考えて見てください。仮に、1泊1万円と仮定した場合、「180日」毎日宿泊があれば180万円になりますが、それで十分とみるか、もっと欲しいと考えるかが、民泊と旅行業との別れ目とも言えます。稼働率が2日に1回程度の「180日以内」の営業で十分であれば、民泊、それ以上に売り上げが欲しい場合には旅館業になると言えるでしょう。ただ、その場合、旅館業の厳しい法規制を求められることになるということです。逆にそれ程売り上げを求めていなければ、民泊という判断もあると思います。
例えば、アパートオーナーが空き室の家賃の補填程度に考えているのならば、民泊でも上手く稼働すれば十分と言えそうです。栃木県内のアパート家賃は、月5~7万円程度だと思いますが、仮に月の半分の15日程度を1万円程度で民泊利用できれば、清掃費用、電気料金等実費等を差し引いても家賃程度は補填できそうです。
メリットはズバリ、空き家やアパートの空き部屋で、売り上げをあげることが出来るという事です。例えば、私が空き家を1軒持っていたとします。その家を民泊で貸し出したとします。2~3名を宿泊させるのに1回1万円とした場合、月に10回利用させたとすると、それだけで月の売上は10万円になります。これを12ヶ月続ければ、120万円になります。民泊は最大で年間180日まで泊めることが出来るので、この場合なら最高180万円になります。もし、今使っていない空き家をお持ちでしたら、結構、良い収入になると思いませんか?
この空き家も一軒家だけではなくて、アパート等の空き部屋でも可能なので、アパートを経営されている方も注目です。仮に、何部屋も持っていた場合、稼働率はさらに上がります。もしかすると、アパートを普通に賃貸するよりも利益が出る可能性もあると思いませんか?
一方でデメリットもあります。お客様が泊まるので、お風呂を掃除したり、布団を用意したりしなければなりませんし、商売になるのでそれ相応の準備、例えば、消防法等の法令遵守や、事前に民泊事業者として役所へ届け出をする必要があります。
また、お客さんがどれだけ来るのか判らないので、費用をかけて準備しても全くこない可能性もありますし、利用状況が荒いお客様が来る可能性もあるので、家や設備を壊されることもあると思います。
そういう心配をしてまでやる意味があるのか?と聞かれそうですが、その辺はやってみないと判らない・・・という所が本音です。個人的には、民泊は新たなチャンスを与えてくれると感じております。もし、興味があるなら、取り組んでみた方が良いと思います。
まず、民泊にはそれぞれの立場によって、届出内容が変わります。
その1「住宅宿泊事業者」:民泊ホスト(アパートのオーナー、大家さん)が届け出るもの
その2「住宅宿泊管理業者」:民泊運営代行会社(民泊の住宅宿泊管理業者とは、家主不在型の民泊の管理を請け負う業者です。家主不在型の住宅宿泊事業者に対しては、住宅宿泊管理業者へ住宅の管理を委託することが義務付けられております。)が届出るもの
住宅の管理とは、具体的には近隣とのトラブルの対応や宿泊者の本人確認と名簿の作成、賠償保険への加入、カギの管理やゴミ出しルールの告知などの民泊施設の管理業務が考えられます。 管理者登録制となっており、民泊運営のかなりの部分の責任を負う事になります。 例えば、住宅宿泊管理業者は、「宿泊している外国人が騒いでいる」「決められた場所にゴミを出していない」といった近隣からのクレームの窓口となって、そのクレームの対応をする責任を負います。 住宅宿泊管理業者の職員には、民泊に関するトラブルに対して、どのように対応をするかといった研修も求められます。民泊利用者に鍵を貸したり、部屋を清掃したりアパートのオーナーが別敷地に持っている物件には、運営代行会社をいれる必要があります)
その3「住宅宿泊仲介業者」:民泊仲介サイト(エアビーアンドビー等の仲介をおこなう業者)が届け出るもの
以上の3種類の届け出があり、それぞれの立場によって提出先等が変わりますので、十分に注意が必要です。
民泊をしてみたいと思っている方、大家さん、民泊ホストの方向けです。
民泊を始める上でしなければならないこと、知っておきたいことなどを解説しております。詳しくはこちらをご覧下さい。
住宅宿泊管理業者の方、民泊運営代行会社向けです。
住宅宿泊管理業者の登録に必要な手続きや義務、注意すべき点などについても記載しております。
詳しくはこちらをご覧下さい。
住宅宿泊仲介業者の方、民泊仲介サイト向けです。
住宅宿泊仲介業者の登録に必要な手続きや義務についても触れております。
詳しくはこちらをご覧下さい。
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